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HPVワクチンは、子宮頸がんを予防するためのワクチンです
これまでも、HPVワクチンによってHPV(ヒトパピローマウイルス)への感染や、子宮頸がんになる前の病変が減ることは、多くの研究で確認されてきました。
では、実際に子宮頸がんで亡くなる人も減っているのでしょうか?
2026年に医学雑誌「The Lancet」に、とても重要な研究結果が発表されました。
研究では、イングランドで2001~2024年に子宮頸がんで亡くなった20~34歳の女性について調べ、2008年に始まったHPVワクチン接種との関係を解析しました。
イングランドでは2008年から、主に12~13歳の女の子を対象にHPVワクチンの接種が行われています。その結果、驚くべきことが分かりました。
2020~2024年の5年間に、20~24歳の女性で子宮頸がんによる死亡は0人でした。
この世代では、12~13歳のときにHPVワクチンを接種した人が約88~90%いました。
過去の死亡率から計算すると、この期間には約23人の死亡が予測されました。
つまり、『予測された死亡:約23人 ⇒ 実際の死亡:0人』という結果でした。
研究では、この世代で子宮頸がんによる死亡が100%減少したと推定されています(95%信頼区間 84~100%)。
HPVワクチンの効果は、もう少し年齢が高い世代でも確認されました。
2020~2024年の25~29歳では、子宮頸がんによる死亡が約69%減少していました。
また、若い時期にHPVワクチンを接種した世代ほど、死亡が大きく減少する傾向がみられました。
研究期間全体では、イングランドでHPVワクチンによって約200人の子宮頸がんによる死亡が防がれたと推定されています。
子宮頸がんの多くは、HPVというウイルスの感染が原因です。
HPVに感染しても、多くの場合は自然に排除されます。しかし、一部では感染が長く続き、子宮頸部に「前がん病変」と呼ばれる変化が起こります。そして、その一部が長い年月をかけて子宮頸がんへ進行します。
そのため、HPVに感染する前にワクチンで予防することが、とても重要です。
特に思春期の早い時期に接種することで、HPVに感染する前に免疫をつけることが期待できます。
今回の研究でも、12~13歳で接種した世代で、子宮頸がんによる死亡が特に大きく減少していました。
ここは大切なポイントです。今回の研究は、実際の国民全体のデータを調べた観察研究です。そのため、「HPVワクチンを接種した人は、子宮頸がんで絶対に亡くならない」という意味ではありません。
そのため、子宮頸がんの予防には、HPVワクチンだけでなく子宮頸がん検診も重要です。
日本では治療は最新の治療が受けられる恵まれた国ですが、若年層の子宮頸がん検診の受診率が低いことも指摘されています。HPVワクチンを接種した方も、将来は年齢に応じて適切に子宮頸がん検診を受けることが大切ですので大きくなられた後には健診を受けるようお願いします。
今回の研究で特に注目されているのは、『HPVワクチンによって、HPV感染や前がん病変だけでなく、実際に「子宮頸がんで亡くなる人」まで減っていることが示された』という点です。
イングランドでは、HPVワクチンを接種した若い世代で子宮頸がんによる死亡が大きく減少し、20~24歳では2020~2024年の5年間、死亡が0人でした。
子宮頸がんは、ワクチンと検診によって将来的に大幅に減らすことが期待できるがんです。
お子さんがHPVワクチンの対象年齢になったら、「今は元気だから必要ない」のではなく、「将来の健康を守るための予防」として、接種について一度考えてみてください。

Sasieni P, Falcaro M.
Cervical cancer mortality trends following HPV vaccination in England, 2001–24: an analysis of population-based mortality data.
The Lancet. 2026;408:162–168.