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2024年度より本邦でも左右の鼻に1回ずつシュッとスプレーするタイプのインフルエンザワクチン“フルミスト”の使用が承認されました。これは生きたインフルエンザウイルスを使った生ワクチンですが、接種してもインフルエンザのような強い症状を引き起こさないようにデザインされています。アメリカでは早くから実用化され、従来の注射型の不活化インフルエンザワクチンと同様に広く使用されています。
当院でも最大200名分のフルミストを準備予定ですが、従来のワクチンと比較した違いをまとめましたので、どちらが良いかご検討の一助になると幸いです。
【感染防御効果】
注射によるインフルエンザワクチンは、血液中にインフルエンザウイルスに対する免疫(IgG)を誘導しますが、“フルミスト”はインフルエンザウイルスの一般的な侵入口である鼻の粘膜にも免疫(IgA)を誘導するので、高い感染防御効果が期待されています。また従来のワクチンと同様に血液内にも免疫を成立させるので、感染してしまった場合でも重症化抑制が期待されます。しかし、これらはあくまでも予想であり、医学研究にて高い感染防御効果を立証されたものはありません。
従来の注射によるワクチンと“フルミスト”のどちらが優位かは流行するインフルエンザウイルスの種類によって変化しますので、その効果は注射によるワクチンと同等と考えてください。
【接種対象者、回数】
日本では“フルミスト”を接種できるのは、2歳~18歳までの方ですが当院では3歳からWebでのご予約が可能です。
接種回数は1回です。これまで2回接種を推奨されていたから1歳から13歳未満までの小児では受診回数が減るメリットがあります。
【ワクチン接種ができない人】
・当日に、急性疾患にかかっている人や多量の鼻水がある人、発熱している人。
・卵で重篤なアレルギー反応を起こしたことがある人
・治療のためにアスピリンを服用している人。
・喘息治療中でコントロールが不安定で喘息発作があった人。(注:かかりつけ医にフルミスト接種の可否を確認してください。)
・心疾患、肺疾患、肝疾患、糖尿病などの代謝性疾患、血液疾患、神経系疾患、免疫機能低下などの慢性疾患を持っている人。
・医療従事者で、重症者治療ユニットや悪性腫瘍治療ユニットで働いている人。
・免疫機能が低下した人と日常的に接する、介護者や家族など。
・インフルエンザワクチン接種後にギランバレー症候群を発症した経験がある人。
【フルミストの副反応】
フルミスト接種後の主な副反応は、鼻炎症状(鼻水、鼻づまり)や発熱などです。また経鼻生ワクチンのため、接種から2週間程度はインフルエンザ抗原迅速検査で『陽性』となる可能性があります。可能性は低いもののワクチンウイルスに周囲の人が感染するリスクが指摘されています。また任意接種ですが、宝塚市民の方は市のワクチン保障事業対象外であり、通常の医薬品での保障のみ対象となることにご注意ください。
【料金、予約】
接種料金は1回8,000円(税込)で、従来のワクチンに比べ高価です。
2024年9月10日より予約開始、10月より接種開始予定です。フルミストは火曜、水曜、金曜の16:00~17:30まで1日6人限定で専用予約枠でのみ接種を行います。(注)発熱時にインフルエンザ罹患との鑑別が困難になる為、当院では他ワクチンと同時接種は行いませんのでご理解ください。
入荷できるフルミストは本数が限られており、ワクチン在庫がなくなり次第予約受付は終了します。ご希望の方は早めにご予約をお願いいたします。