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2021年6月に日本でも新型コロナ(SARS-CoV-2)ワクチンの接種対象が16歳から12歳まで引き下げられることが決まりました。
新型コロナウイルスに感染した子どもは大人に比べて軽症と言われているのに、なぜワクチンを打たないといけないのか?
そう疑問に思った親御さんは多いと思います。
海外の小児科専門誌であるPediatricsでは、小児へのワクチン接種を勧める理由として以下のように述べています。
まず専門家の予測として、大人へのワクチン接種が進んで現在の新型コロナの感染流行が抑えられても、ワクチン忌避者や接種者でも月日が流れ自然に起きる抗体価の低下により、完全には新型コロナは根絶されず、今後も散発的な流行が存続する可能性が考えられています。
子どもは多くの場合で無症候か軽症とされていますが、まれに*小児多系統炎症性症候群(MIS-C)や肺炎のように重症化することがあります。
(*MIS-Cとは下痢、発熱、発疹などを認め、心臓の動きが悪くなることを特徴とする疾患です。)
さらに自身の重症化リスクに加えて、感染しても無症状のことが多い子どもでは現在多くの場所でされている体温測定などの予防策では十分とは言えず、同居する両親や兄弟、祖父母だけではなく、登校すれば教師や他の児童にまで移してしまう可能性があります。
日本小児科学会も同月16日に12歳以上のワクチン接種は有意義であると発表しています。しかし、子供では副反応の頻度が高いことが報告されていることもあり、接種前に本人と養育者への十分な説明が必要であるとして集団接種より個別接種を推奨する声明を出しています。
ワクチン接種を希望しない判断が悪いわけではありません。
新型コロナウイルスのワクチンは高い予防効果が報告されています。一方、副作用もあるため、周りの判断に流されてではなく、しっかりと情報収集をした上で、基礎疾患がある、小さなご兄弟がいる(1歳未満での重症かリスクが報告されています)、同居で高齢なおじいちゃんやおばあちゃんがいるなど、個々の状況に応じて誰にも強要されずにご判断していただければと思います。
ながいキッズクリニック 院長 永井 正志 拝
(ながいキッズクリニック公式ブログ 2021.6.23)