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(この記事は“思春期の『始まり』はいつ?(思春期早発症①)”の続きです)
思春期には男児では精巣から“テストステロン(男性ホルモン)”、女児では卵巣から“エストラジオール(女性ホルモン)”が産生されます。この性ホルモンにより体には様々な変化が生じますが、その一つが成長スパートと呼ばれている急激な身長の伸びです。
この伸び始めた時の身長から最終身長になるまで男子では約30㎝、女子では約25cm伸びると言われています。
そのため幼くして思春期を迎えた場合、背が高い男の子で、例えば145cmで始まったのであれば大人になった時には175㎝になると予想されて問題ないのですが、125㎝であった場合には155㎝で最終身長が低くなる可能性があります。
そのため、平均的な年齢より早く思春期を迎えたお子さんには“思春期早発症”として身長を伸ばすために治療の対象となることがあります。
この思春期が早いかの基準として日本では小児慢性特定疾患事業で次のように設定されています。
男児の場合)
・9 歳未満で精巣、陰茎、陰嚢等の発育を認める。
・10 歳未満で陰毛を認める。
・11 歳未満で腋毛やひげの発生や声変わりをみる。
女児の場合)
・7歳 6ヶ月未満で乳のふくらみを認める。
・8歳未満で陰毛や腋毛の発生、外陰部が成熟する。
・10 歳 6ヶ月未満で初経を認める。
もしお子さんがこの基準より早く思春期兆候を認めたときには、一度かかりつけの小児科の先生にご相談することをおすすめします。
しかしこの基準で必ず治療の必要性が判断されるかと問われれば答えは“×”です。
先ほどにも述べたように背の高いお子さんであれば低身長のリスクにはならないため、治療の必要がないことがあります。一方で背が低めのお子さんでは上記の基準日に+1歳して検討しますし、診察させていただいた結果、思った以上に成長が標準より早く進んでいる場合には治療の対象にします。
また思春期早発症が脳腫瘍を原因としている可能性があり、特に男子の思春期早発症の約40%が脳腫瘍によると報告されています。
そのため、思春期早発症を認められたお子さんのうち、
男子または、6歳以前に乳房腫大を認めた女子ではMRI検査を受けることが推奨されています。
ながいキッズクリニック 院長 永井 正志 拝
(ながいキッズクリニック公式ブログ 2021.6.11)